大麻って聞いて、あなたは何を思う?

大麻とは雑草から神までを内包する植物である

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2019.07.20
written by Yoshiki Matsuura

思考停止に陥らず、疑問を持つこと、そして共通言語・共通認識のもとで前向きな議論を!

大麻、大麻、大麻。大事なことなので3回書いてみた。とは言っても大麻のことばかり声高に叫んでもその声は届かないどころか逆効果となり拒絶されより遠ざかっていくことも多い。大麻関連の講演やイベントならまだしも飲み屋や職場で大麻を連呼すると結構引かれることが多いのは気のせいではないと思う。

大麻は単純にアサ科アサ属アサ種の植物の名称だ。植物名アサ。英名ではカンナビス(Cannabis)。アサ科のアサは一種類しかないからアサ科アサと略して表示される。それ以上でもそれ以下でもない。とはいえ、それと同時に大麻は「雑草」から「神」のあいだを彷徨するものでもある。清濁合わせ持つ植物といっても良いが、それは人間の勝手な思い込みに過ぎないのかもしれない。

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大麻は万能ではない。中毒性もあるだろう。成分が個別に分解され細分化され濃度が上がれば致死量も出てくるに違いない。CBDだけがクローズアップされそれだけが良いものだと認識されるのはおかしなことだ。

大麻という植物へのヒトの思い入れが大麻を神にしたり、ダメ、ゼッタイの悪にもしている。例えば、毒になるものは薬にもなる。薬になるものは毒にもなる。薬≒毒だ。大麻についてはそんな当たり前のことがおざなりにされているように感じる。ヒステリックに擁護したり非難するほどのものではない。大麻は大麻に過ぎないのだから。たかが大麻、されど大麻っていうところだ。

嗜好についても「そんなに吸いたければ海外に行けばよい」という論調もチラホラ見かけるが、日本国籍であれば国内法は海外でも適用される。厳密には違法だ。違法である所持の証拠を確保するのが難しいために逮捕されないに過ぎない。

「吸えばわかる」という意見にも与しない。知識と経験の範囲、思考・情報の組み直し以上のものは出てこない。

大麻取締法という法律がある以上そこを踏まえた上でどう考えどう行動するかはそれぞれとしか言いようがない。すでに国が法を守っていない状況において、矛盾を解消するためにも法改正は急務だろうし、必要な人には必要なのだから、必要な人に必要な分が届くようになれば良い。法に無関心な人にはもともと法は関係ない。

また大麻を医衣食住など用途や使用部位によって差別的な区別を付けようという動きもあるが、それに僕は与しないし、マリファナという「安いタバコ」というメキシコ移民問題からスタートしたスラング的な呼び方すらあまり好きではない。まぁ、ブラックイズビューティのような意味をひっくり返す意味ではすでにマリファナは世界共通語でもあるのかもしれないが。

だからいわゆるマリファナ、嗜好としての大麻も「大麻」の使い方として、そして大麻と呼ぶことに問題は無いように思う。それは大麻は植物であり、それを農家が換金作物として栽培するからには医療用も嗜好用も繊維用も種用も全部が農作物であり大麻に過ぎないからだ。

大麻について「昔から」「日本中に」「そこら中に」という話もあるけれども、そんなに大麻はない。あった時代にあるべき場所にあった。例えば「昔」とはどのくらい昔のことだろう?80歳以上の年配者に聞くと育てていたという話はよく聞く。とはいえ戦時中の生まれだ。戦時体制下では日本だけでなく厳しく取り締まっていたアメリカですら栽培を奨励した時代背景がある。それでは100年前は?120年前は?もっと前は?

実は明治以降、大麻の生産量はだだ下がり。かろうじてご神事用が残った。戦後も換金作物としての価値が低くなり生産者が減った。食べられる作物の方が大事だったから。農地改革によって米との関係性も変わったから。生活の変化によって生活の中から消えていったから。

とはいえ、GHQ主導の大麻禁止の流れが許認可制の面倒さとともに現在に続く「ダメ、ぜったい」のイメージに大きく影響を及ぼしていることには違いはないのだけれども、GHQだけを悪者にして思考停止している時はすでにはるか昔に過ぎ去った。「はるか昔」がいつかは知らんけど、これは概念としてね。

現在は、生産者の努力、大麻解放運動やヒッピームーブメント、ニューエイジ運動などなど、そして社会や環境の変化、科学や化学による大麻の研究などなどによってあらためて大麻が見直されはじめているのだ。医学もまたしかり。時代背景や社会背景、あるいは地域性の欠落した議論は冷静さを欠き、大麻を現代に繋ぎ伝えてきた先達たちへの冒涜でもある。

最近はエビデンスが重視されるが、エビデンスを構築するためには推論や推察が必要だ。そこからダブルチェック、トリプルチェックがあって一応の確定となる。そこまで否定してしまう態度は考古学者・歴史学者・科学者などだけでなく先達たちの努力に対する冒涜でもある。ひいては大麻に対する冒涜でもある。せめて近年の戦前・戦中・戦後の区別くらいはつけた議論、そして神話・伝説・歴史・物語、妄想、、、それぞれ区別した前向き&建設的な議論を望む。

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エビデンスの話が出たので最後にエビデンス。どうもエビデンスについて勘違いしている人も多く、証拠や根拠だけを抜き取り、エビデンスを得るための推論や推察をおろそかにしたり、我田引水盲目的なエビデンス多用者もみかける。同じ大麻でもそもそも大麻に対する定義や概念がすれ違っていたり、読解の差であったり、理解の差であったり解釈も違いがあったりするのは当たり前なのだけれども、それを議論したり相互のチェックをする機能や場がこれまで構築されていない。とはいえそれもこれまでのこと。良きも悪きもやっと大麻についての議論を進めていく土壌のようなものは出来そうな状況になってきた。医衣食住+嗜好にいたるまで大麻の研究や議論はまだまだこれからだ。

その上で、大麻を文化にまで昇華させ、あるいは生活にまで落とし込んだ日本における大麻は、日本をつくってきた基層文化のひとつとして世界に誇るべきものだと確信している。古くも新しい大麻の歴史を掘り起こし、伝え、繋げ、そしてさらに新しい大麻文化を生み出していくことが持続可能な未来への道だと確信している。


この記事は HEMP Magazines Japan のオリジナルコンテンツです。

この記事を書いた人

松浦 良樹

1970年生まれ。環境問題や自然エネルギー、伝統文化などをメインテリトリーとするライター。他さまざまなイベントの企画運営などを手がける。NPO法人日本麻協会理事などを務め、2016年7月、理事長岡沼隆とともに国立京都国際会館(京都議定書が採択された会場)で開催された「第1回世界麻環境フォーラム」(別名「京都ヘンプフォーラム」)と呼ばれるIHEFの初イベントを開催した。このイベントには、世界中から麻の専門家や産業家の他、安倍昭恵夫人、京都市長、京都最古の神社である上賀茂神社宮司などが広く参加した。また、蚊帳研究家として蚊帳の歴史や文化の研究に努めるとともに、ヘンプ100%の藍染の蚊帳の開発やヘンプストロー、ヘンプフィルターなどの開発に携わり普及活動を続けている。2019年ネパールで開催されたASIA HEMP SUMMITにおいて「日本の大麻を世界へ!世界の大麻を日本へ!」をキーワードに「大麻と蚊帳の博物館」創設に向けた企画で起業家賞を受賞、今年中の東京・浅草での開館を控えている。


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